しょたんぶらー@shota.net
「そんなら言はうかへ。江戸詞のからを笑ひなはるが、百人一首(ひやくにんし)の歌に何とあるヱ。
「ソレソレ。もう百人一首(ひやくにんし)じゃ。アレハ首(し)じゃない百人一首(ひやくにんしゆ)じゃはいな。まだまアしゃくにんしト言はいで頼母しいナ。
「そりゃア、わたしが言損(いひぞこねへ)にもしろさ。
「そこねへ、じゃない。言損(いひそこない)じゃ。ゑらふ聞づらいナ。芝居など見るに、今が最後(せへご)だ、観念(かんねん[当時上方では「くゎんねん」と発音していた。])何たら言ふたり、大願(でへがん)成就忝ねへなんのかの言ふて、万歳(まんぜへ)の、才蔵(せへぞう)のと、ぎっぱな[「立派な」の上方訛り。]男が言ふてじゃが、ひかり人(て)のないさかい、よう済んである。
「そりゃそりゃ。上方も悪い悪い。ひかり人ッサ。ひかるとは稲妻かへ。おつだネヱ。江戸では叱(しか)ると言ふのさ。アイそんな片言は申ません。
「ぎっぱにひかる。なるほど。こりゃ私が誤た。